詰め物・被せ物の種類

歯科金属の種類

金銀パラジウム合金

保険で使用されている、いわゆる「銀歯」の多くは「金銀パラジウム合金」です。
金銀パラジウム合金については、安価で保険適用になるというメリットがありますが、ヨーロッパでは制限を設けている国もあります。ドイツでは、歯科業界に対して保健相が「幼児及び妊婦に対して銅を含有するパラジウム合金と、水銀・銀アマルガム合金を使用しないこと」という勧告をした事実があります。
ドイツをはじめ、ヨーロッパの歯科医療先進国では、パラジウムが体に与える影響を考慮し、「パラジウムフリー = パラジウムを含まない」の金属を使うことを推奨しています。

また、金属アレルギー検査(リンパ球幼弱化テスト)を行うと、約半数の人に陽性反応が出ます。

アマルガム

銀色の詰め物で、過去に多く使用されていたものに「歯科用水銀アマルガム(一般的にアマルガムと呼ばれている)」があります。「アマルガム」は、むし歯を削った部分に充填するための歯科用金属で、1970年代頃には特に多く使用されていました。

アマルガムは、銀・スズ・銅・亜鉛の粉末と「無機水銀」との合金です。アマルガムは口の中で少しずつ腐食して水銀が溶け出し体内に蓄積されます。研究によると、アマルガムは口腔内に使用されてから3年以内に劣化しだし、10年後には平均で総重量の約73%が減少すると報告されています。欧米ではアマルガムを使用禁止にしようとする動きが出ており、歯科医療先進国であるスウェーデンや、イギリスでは既に使用禁止になっています。

銀合金

「銀合金」は銀を主成分とした合金です。主に乳歯の詰め物や、被せ物の治療の裏打ちに使用されます。長持ちしにくくいため、永久歯の治療には向いていません。銀合金は適応条件を満たす場合、健康保険適用となります。

銀パラジウム合金

「銀パラジウム合金」は、銀に20%以上パラジウムを加えた合金です。

 

パラジウムについて

歯科では、パラジウムは、あらゆる種類の歯科用鋳造合金において、非常に一般的な成分であり、金のコストの増加に対応して、過去数十年にわたってその使用が増加しています。しかし、特にドイツでは、歯科用合金にパラジウムを使用することによる生物学的悪影響の可能性をめぐる論争がありました。「パラジウム」はイオンの形で体内に取り込まれると、生物学的システムに有毒で、アレルギー性の効果があります。
パラジウムアレルギーはほとんどの場合、ニッケルに敏感な人に起こります。パラジウムイオンの発がん性はまだ明らかではありませんが、変異原として作用する可能性があるという証拠がいくつかあります。

日本において金銀パラジウム合金が保険適用となった背景の参考文献があります。

1960年頃、戦後の厳しい経済情勢下の日本の歯科界では、低廉な「銅亜鉛合金」を代用金属として保険診療にも採用しようとする動きが出てきた。
金属の腐食の点から見ると、きわめて過酷な環境の口腔内に使用する金属は、化学的、生物学的に安定した金、ないしは貴金属合金でなければならない。
日本補綴歯科医学会は銅亜鉛合金が歯科用として採用されることを阻止する為に、「歯科用金属規格委員会」を設置し、歯科用合金の規格とテスト法ならびに各種合金の評価を行った。
こうした学会の活動によって、銅亜鉛合金の歯科臨床への導入は避けることができた。
また、同委員会は、歯科用合金としては金合金を使用するのが本筋で、総医療費や日本の経済力から見て代用合金の使用もやむを得ないが、その際でも、金銀パラジウム合金をもって代用合金の許容限界とし、しかもできるだけ早い時期に金合金に移行すべきであることを、委員会報告書で発表した。

「GPのための金属アレルギー臨床」 井上昌幸監修


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